【評価レビュー】Jの総て 作者:中村明日美子

Jの総て 作者:中村明日美子
マンガ・エロティクスFにて連載

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【評価 71点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評
「映画を見たような読後感」漫画という媒体でこの感想を引き出すのは元来難しい。ただ、中村明日美子先生のエロスと美しさを秘めた線で描かれる登場人物たちは異様なほどページの上で映えている。そんな画力を持つ中村先生がマリリンに憧れる美しい少年の半生を3巻でまとめた結果、映画のような迫力を持つ作品に仕上がっています。
リタの恋模様をもっと読みたいと思っていたのが、自分だけでなく先生ご本人もだったとは、と感じつつ君曜日を幸せに享受しています。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)

【17点】
「マリリンに憧れる美しい少年の半生」という設定をこの世でもっとも描くべきだった中村明日美子先生が思いついたことに感謝! 圧倒的“これだ”感は最高だ。
読んでいたときは、「マリリンが男だったら……」という着眼点から本作が生まれたと勝手に思っていたが、「強くてカッコいいオカマを描きたい」というのが始まりだったことを知り、強くてカッコいいオカマ→マリリンの流れは完全に天才の域だと思いました。

 

・エンターテイメント(20点満点)

【13点】
実際のところ、凌辱もあるし、愛のあるSEXも描かれている。禁断の女性とのSEXも描いており、SEXの幕の内弁当状態です。ただ、もう少し性描写だけでなく恋愛面ももう少し長めに読みたかった。人の感情の動きが早く、肉体言語に達するまで早く読者のカタルシスを溜めてからの展開がラストにでもあったら良かったなとも思ってしまう。ただ、感情の揺れ動きなどの描写を短くしているのは、敢えての演出だとは思うので難しいところ。

 

・ストーリー(20点満点)

【14点】
モノローグのジーンの姿を見て、リタが出てきた瞬間に髪色からリタとJの娘だと一瞬で気づける読者になりたい。モノローグのあと、さらにモノローグが入り、二番目のモノローグに時間軸が追いつくというかなり変わった構成になっていてモノローグに早い段階で追いついたのもかなり面白かった。
一言いうなら、マリリンの死についてもっと触れてほしかった。読者にはわかっている「マリリンの死」をJとシンクロさせる展開を多くの人は期待したハズだし、その部分を読みたかった。

 

・面白さ(20点満点)

【15点】
モノローグ含め、演出はホント最高だ。展開も実際、大まかな流れは読めてもターニングポイントに発生する事件は予想外で、尚且つ面白く展開していており読み止めることなく一気に読んでしまう。

 

・終わり方(20点満点)

【12点】
最初のJを見ると、やはり壮絶な死を期待してしまう。幸せのハッピーエンドも悪くはないが、マリリン・モンローという存在を引き合いに出した時点で、基本バッド・エンドへ物語は進むワケで、ハッピーエンドにするのだとしてももう少し事件が足らないと思ってしまった。
ただ読み始めた時点で、本作がハッピーエンドだと思う読者も相当少ないだろうからある意味逆をつくいい終わりだったのかもしませんね。

 

以上となります。