オタしなみ

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【評価レビュー】PSYREN -サイレン- 作者:岩代俊明

PSYREN -サイレン- 作者:岩代俊明
週刊少年ジャンプ2008年1号 - 2010年52号 にて連載

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【評価 66点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評
個人的に大好きな漫画です。中二病の高校生にとって最高の作品でした。主人公の特異性、絶望と挫折、能力バトル全てが岩代先生の感性によって絶妙なバランスのジャンプ漫画として描かれています。デスゲームジャンルをジャンプ漫画として昇華した稀有な王道少年漫画。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)

【15点】

純粋無垢ではなく、「純粋」なだけの他の主人公とは違った闇の力を操る主人公。荒廃した未来の日本に強制的に転移し続け、現在と未来を交差させる世界観。

そして、人間の脳はリミッターが存在していて開放すれば超能力が使えるという超王道設定。全てがジャンプ漫画として面白くあるための設定として描かれつつも、岩代先生のただのジャンプ漫画で終わる気がないというアンチテーゼも感じる素晴らしい設定でした。

唯一、物語が始まった根源が宇宙から来た変なヤツ設定はフォローが難しい……。

※ドラゴンなど、ところどころダサい感じはむしろちょっと好きなので減点対象ではないです。

 

・エンターテイメント(20点満点)

【14点】
バトルの面白さは当然だが、本作は恋愛要素も両立出来ているジャンプ漫画である。主人公とヒロインだけでなく、その他のキャラクター全員の行動原理として「愛」が描かれており、その愛の結末までもしっかり描いてくれた。

バトルについては戦い方については文句なし。「暴王の月」や「生命の樹」などのオリジナル能力は最高だが、氷の能力やテレキネシスなどの既存の超能力についてはちょっとダサい。

戦い方については文句はないが、演出としても頭脳戦があると読み応えも増えたでしょう。個人対個人の戦いが多く、個人対複数の戦いを世界観的にももう少し読みたかった。

 

・ストーリー(20点満点)

【9点】
8巻までなら、18点でした……。現在と未来が交差した瞬間のストーリー最大瞬間風速はとんでもなかったです。

その後も大筋は正直文句なしです。世界の正体が分かり、未来を知っているからこその現在の戦いもあり、その後も決戦含め未来へ挑む。

ただ、その繋ぎ方に粗が多い。アゲハのお父さんが無駄に強い部分や、ウロボロス辺りは拙く感じました。その部分はまだGANTZのスタイリッシュ設定バラしの方が上手かったですね。

大好きな作品だからこそ、愚痴が出てしまう寂しさがあります。

 

・面白さ(20点満点)

【16点】
ジャンル的に言うと「デスゲーム」に属すると思いますが、ここまで予想を裏切り期待に応えてくれた作品はこのジャンルでは2020年現在いません。

8巻の展開はもちろんのこと、終盤の未来世界では絶望具合もバッチリでした。仲間キャラたちのその後も案外予想が難しい人物も多く、大満足です。

 

・終わり方(20点満点)

【12点】
打ち切りエンドにしてはがんばったで賞。

この称号をつけざる負えないのが辛いですね。外伝の小説が2冊も出たりと信者は多いが、キャラデザの問題でファンが少なかったのでしょうか。

玄人読者が最も多いジャンプではこの「デスゲーム」という作品が生き残るには厳しい部分もあったのでしょう。

絶望しかない未来で、唯一のハッピーエンドへの着地。この部分がブレなかったことは素直に凄いと思う。

 

結果として66点評価ですが、大好きな作品です。好きな漫画TOP20には入れるでしょう。個人的理想は、原作:岩代俊明 作画:久保帯人 このタッグなら1億部も夢じゃない!

 

以上となります。