オタしなみ

漫画の点数レビューがメインです。

【評価レビュー】ぼくらのへんたい 作者:ふみふみこ

ぼくらのへんたい 作者:ふみふみこ

月刊COMICリュウ:2012年5月号〜2016年2月号

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【評価 73点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評
性ジャンル漫画において最もオサレなバトル漫画、それが『ぼくらのへんたい』。
全体のテイストは『BLEACH』でキャラは『HUNTER×HUNTER』そんな性ジャンル漫画でした。ハードルが限界まで上がりそうな言い回しですが、本当にそう感じるのだから仕方ない!

特に7巻の田村修(クロロ)と夏目智(ヒソカ)の対決は完全に天空闘技場を思い出しました。ついでにまりかは当然ゴンです。だって急に髪伸びたし!!

ふみふみこ先生の最高傑作的なイメージもありますが、『さきくさの咲く頃に』がありますし個人的にはまだまだふみふみこ先生はもっと面白い漫画も無限に生み出せる印象があります。

ただ、間違いなくLGBT漫画としては最強格の一作。
 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【15点】

キャラが抜群に良い。

上記に書いた通り、『HUNTER×HUNTER』に置き換えられるほど抜群のキャラ構成になってます。キルアもクラピカもレオリオもいます。
だから何だという風に思うかもしれませんが、これはやっぱり恋愛バトル漫画として抜群に面白い証拠だと感じてる。

最初はどのキャラも好きになれないのが良い、冒険を共にすることでどんどん好きになっていきました。

設定に関しては正直不幸が多すぎる気もしますが、それはそれで仕方ない。だからどれだけ良いキャラが出てこようとも、この三人が常に表紙を飾り続けたというのは特別だということだと思うから。

 

・エンターテイメント(20点満点)
【15点】

好きになったら、負けだ。恋は戦いだ!
そんな熱いバトルが本当に繰り広げられている。

「あっ!この子はこいつのこと好きだからこの話はこの子に不利だな…。」
「あっ!こいつはこの子のこと好きだから今度はマウントとれるぜ!」
本当にバトル漫画かのような少年少女の関わり合いが最高にエンターテイメントしてました。

最後に愛あるエッチを描くにはまだこの子たちには早かったのか、それともキスですらこの子たちには早かったのか。著者の意図はわかりませんが、やっぱりそこも読んで見たかった。

 

・ストーリー(20点満点)
【15点】
無理なく無駄なく進んでいったし、何より展開が早く問題提起に対しての応え方がマジでカッコいい。ウテナが残した文法のイメージもあるが、恋愛関係や思いの進み具合を、セリフでも直接描写でもなくただのキャラ配置や視線だけで示すこのジャンルが持つクールな面白さが存分に描かれていて最高だった。

時間軸が飛ぶのも素晴らしい。一気に読んだ人には10巻というボリュームを絶対に感じさせないと思う。それくらいあっとういまに読めてしまう。

 

・面白さ(20点満点)
【15点】
序盤の主人公たちが抱えている闇については、予想外のことが多かった。中学生でここまでの闇を抱えれるのか。そしてこの子たちを一体どうやって著者は扱っていくのか…。

そして、しっかりとこの子たちは前を向き最後は向き合っていた。

恋愛の結末や展開については、予想外のことも多かったがそれが期待に応えた終幕だったかというと難しいかもしれない。

ただ、面白かったことは間違いない。

この作品の最も評価されるべきところだとも思っているのだが、この漫画めちゃくちゃ読みやすい。コマ割り、特にセリフのないコマの使い方が最強すぎる。
あってもなくても変わらなそうだが、絶対にあるからこそこの読みやすさが担保されているのだと思う。

商業という媒体においてこの贅沢なコマ使いができたことは間違いなくリュウCOMICのおかげだとも思う。

 

・終わり方(20点満点)
【13点】
どうしてもみんなの結末がスッキリし過ぎてしまったようにも感じる。
実際は、最終話のエピローグには様々な思いが一コマ一コマに隠されていて、全然読み解けていないだけという気もしているのだが、だとしてもこの先を俺は読みたい!
だって、最後のページを見ればわかる。絶対にみんなを襲う試練はまだ無限にある!

それを読みたい!!と思ってしまうので終わりとしては物足りなくなってしまった。

このバトル漫画、絶対20巻はいけたよなーと面白かったからこそ思ってしまう。まりかの子供を育てる話とか人工妊娠とかめっちゃ読みたいやん…。

性ジャンル漫画としては長いが、バトル漫画としては短い。不思議な感じです。

 

以上となります。