オタしなみ

漫画の点数レビューがメインです。

【評価レビュー】金色のガッシュ‼︎ 作者:雷句誠

金色のガッシュ‼︎ 作者:雷句誠

週刊少年サンデー:2001年6号〜2008年4,5号

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【評価 82点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評

週刊少年サンデーを代表する傑作王道少年漫画!

連載終盤のゴタゴタや、「連載:小学館」「文庫版:講談社」「完全版:クラーケン」
というどうしても深読みしたくなる多版元展開に疑問も残りますが、絶対的に面白い一作。

魔物の王を決めるため、100体の魔物の子供が人間のパートナーと共に戦う。
この設定が本当に神ですね。人間と魔物が成長と共に呪文を覚えていく魔本を使って戦う。このスタイルも神でした。
この設定より上手い少年漫画ってあるのかな?
正直思いつけない。それくらい素晴らしいと思っています。

終盤の展開も基本的には大満足な『うしおととら』ではなく『ガッシュ』で育った全肯定タイプのガッシュ好きとしてレビューしていきます。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【18点】

満点でも良いかなと思いましたが、後半説明する魔物の王を決める戦いを仕組んでいる側の世界観設定・魔物側の世界観設定はまだ面白要素が残っていたと感じるのでこの点数に留めておきます。
今後、千年前の戦い編とかの連載が始まったりすれば回収出来るかもしれませんね。

キャラに関しては、魔物の子供たちのデザインが最高すぎるし、呪文のワードセンスの高さが本当にとんでもない。
電撃の呪文=ザケル この語呂だけで謎の納得感があるのマジで凄い。
特に好きなのは「シュドルク」です。これで変身するのが一発でわかる!不思議!!
ついでに二番目に好きなのは「オンカラキリソワカピンコロピンコロジャンボゥゲーアピポロピョーンブビデ・バビデ・ブー」です。

あとは主人公の清麿が本当に魅力的なキャラクターだと思う。これほど感情豊かで人間的に正しい主人公はあまり見ない。特に怒ったときの表現が大好きですね。

 

・エンターテイメント(20点満点)
【18点】

最高のバトルがたくさん見れる。
魔物の呪文は基本属性が違うだけで、結果的に何系統かの成長過程に分かれているのも好きでした。そして戦いの結果、魔界に帰るという残酷な結末が待っているのも素晴らしい。

戦って負けた結果、死ではないが死に近いリスクが存在しており、戦いにも最高の緊張感があったと思う。

ホント皆さんのベストバウトが聞きたくなりますね。無限に語れます。
当然ラストのガッシュVSブラコは漫画誌に残るレベルに大好きです。

強いてマイナスにするとしたら、その後の人間関係ですかね。
魔物と共に戦った結果、パートナーの人々は大切な思い出と成長の糧を得た。
それだけで十二分だと思ったりもしますが、ただこの漫画は魔物の子供の数だけそれぞれの物語がある。あとは想像にお任せしますにしては、清麿とガッシュ以外のその後がどうしても気になってしまうモヤモヤが残ります。

 

・ストーリー(20点満点)
【15点】

無理なく進み、千年前の魔物編・ファウード編・クリア編と基本的にどれも満足しています。
ストーリーとしては魔物が100体と決まっているので、絶対に無理なく完結まで進めるという構成に元からなっており無敵でしたね。

ここで話したいのが、ガッシュのおそらく没になった幻のストーリー案です。
有名な話ではありますが、本作は著者と出版社の関係悪化により打ち切られたという、真相はわかりませんが、結果として駆け足で物語は幕を降ろしています。その結果、個人的には失われたラストの展開があると思っています。それをこの場を借りて話そうかなと思います。
ここからレビュー関係なく個人的妄想を語ります。

ーシン編ー(連載終了に伴い失われた物語)※完全な個人の妄想編
この物語の根幹である「魔物の王を決める戦い」これ事態が間違っているでしょ!という展開に普通はなるハズです。
ただし本作はそうならなかった。
完全版に収録されているガッシュの父と謎の存在の語り合いがありますが、絶対にガッシュと清麿がこの戦いを仕組んだ「神」との戦いがあったと思っています。

それを象徴するのが「クリア完全体」と「シンの呪文」この二つです。
急に出てきた「クリア完全体」を倒すときに姿を現したタイトル回収の「金色のガッシュ
この物語の最初から用意していた金色の力を使う相手は明らかに「クリア完全体」では弱すぎる。金色のガッシュを最初から用意しているのであれば、絶対にそれを使う敵も用意していたハズです。
そして、その敵は間違いなく最序盤のコルルが苦しめられたこの戦いを仕組んだ存在でしょう。そんな敵の正体はどこにあるのか。それが「シンの呪文」だと思っています。

ガッシュの呪文には「ギガノ」「ディオガ」「シン」と強さの段階があります。
最終段階の強さとして「シン」がありますがこの呪文がおかしい。
何故なら、使用すると強力すぎて使用者の体が崩壊していくのです。つまりこの「シン」という呪文は何かの力を借りているようにも感じます。

そこから考えると、ファウード編以降、「シン」の呪文を使えるようななった魔物たちは最後にこの戦いを仕組んだ敵、おそらく「神」と戦うことになると思っています。
そのとき間違いなく「シン」の力を封印されてしまう。強力な呪文の力なしで、一体どうやって戦うのか。

その答えも実は存在します。それが「ティオ」です。
彼女は最後まで戦いに参加しますが、彼女は「シン」の呪文は使いません。自身の思いを糧にして「シン」の呪文からみんなを守ります。
ガッシュたちも「シン」の力ではなく自分たちの力を形にして最後にどの魔物もすぐに「シン」の呪文を使っていましたがそれぞれ特別な呪文を金色のガッシュを通して神という存在に立ち向かったのではないのでしょうか。

あー見たかった。
と妄想ではありますが、上記のようなストーリーがどうしても見えてしまう。

これが見えるとどうしても大満足とは言い切れないのです。

 

・面白さ(20点満点)
【17点】 

本作は案外、誰が負けて消えるのかが予想しづらいです。
それだけでも十分予想を裏切り期待に応えてくれていました。

子供の頃読んでいたときも「えっ!?」この魔物が消えるの!とすっごく驚いたのをよく覚えています。

ピンチの演出も上手く、ゼオンとの戦いに関してもあー絶対に勝てない。
そんな状況から、清麿が覚醒しガッシュがパワーアップして戦えるようになる。その演出がまた今までは3行でザケルと読んでいたのが、1ページ分でザケルと読めるようになっている。というこの謎の納得感!

雷句先生の読者を納得させる力は本当に凄いと思う。
納得というより作り込みだとは思いますが、本当にこの世界に入り込むように楽しんで読むことが出来ました。

 

・終わり方(20点満点)
【14点】

失われた話があると書きましたが、ラストに関してはそこは関係ないと思っています。
ブラコとの戦いが最後ですし、この戦闘は間違いなく最高だった。

強いて言うのであれば、エピローグですね。絶対に10年後の世界でもいいので、書くべきだったと思ってしまう。

ガッシュと清麿については、納得できる。しかし、100組のパートナーがいた中でそれぞれの物語がしっかりと内包されているのが本作の魅力だった。だからこそ、全員とは言わなくてもこの闘いを経て彼らがどうなったのかをもっと見たかった。

最後のクリア完全体の戦いも清麿が呪文を唱えていますが、本来のパートナーが唱えて欲しかったし、それぐらい大きな戦いを演出してその後のみんなのエピローグをどうしても見たかった。

そんな訳で、続編をお待ちしております。

 

以上となります。