【評価レビュー】荒ぶる季節の乙女どもよ。 漫画:絵本奈央 原作:岡田麿里
荒ぶる季節の乙女どもよ。
漫画:絵本奈央 原作:岡田麿里
別冊少年マガジン:2017年1月号〜2019年10月号
【評価 59点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
アニメ化もした人気作。
何故、絵本先生が原作付きでしかもその原作が岡田麿里て……。
心情は正に作中のロリコン劇団おっさんが新菜に触れてくるときの犯されている感を味わっておりましたが、読み終わってみると後味スッキリな青春物語に仕上がっていて驚きでした。
結局は女子高生がのびのびと青春している物語でしたが、本作は女子目線の男性向け恋愛漫画という実はかなり特異な形で描かれていて読んでいて新鮮で楽しく読めました。
◆点数内訳
・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【14点】
キャラが良いですね。
特に泉と新菜と本郷。この三人は本当に良いキャラだと思う。
女子高生が主人公だと、男キャラってここまで倫理的な童貞キャラになれるのか……と逆に清々しかったです。
・エンターテイメント(20点満点)
【9点】
いろんな恋愛をしようとしたけど、結果的にはやっぱり消化不良感がありますね。
大学生編があれば、もっと自由奔放な性描写が出来て『恋愛ディストーション』みたいな楽しみも出たかもしれませんね。
キャラが良いからこそ、もっと面白く出来た気もするなぁと思いつつも、少年誌として性にしっかり向き合った結果とも取れるので良いのかなとも思う。
しかしラブコメも出来ず、恋愛も対して出来ず、青春だけ走り抜けたせいでエンターテイメントではなくただただキャラと著者が満足した感はある。
・ストーリー(20点満点)
【10点】
性に悩む女子高生が、性と向き合った結果、学校と対立して恋愛に落ち着く。
そんなストーリーラインは初めからあったからこそ、あの妊娠したギャルの子が最初から配置されていたのでしょう。ただ、そのストーリーにするにしては性描写がショボ過ぎて読んでいて「何で?」という気持ちが残りました。
しかし、文学作品リスペクト的に無駄なく8巻で締められたのは良かったと思う。
・面白さ(20点満点)
【15点】
オナニー目撃から新菜の恋物語までどの話もフックがあって読んでいて非常に面白かったです。
本郷の先生との恋愛も岡田コウよろしく展開を期待してしまいますが、そこは少年誌らしくラインは守りつつも露出プレイというギリギリを攻めていて面白かったです。
結果は別として、最後まで読ませる力は本作には非常にあったと思う。
・終わり方(20点満点)
【11点】
どうでした?
エピローグも楽しくはあったし、この続きが読みたい!というのも無粋なのかなとも思う締め方ではありました。
絵本先生の前作は物語自体にフックがあったので、物語自体が盛り上がり過ぎてそれにキャラが立ち向かえなかった印象があります。
しかし、本作は逆にキャラが良くて物語が負けた。そんな気がしてしまいます。
あまりに青春文学作品的な漫画だったのかなと思いました。もっと作者のエゴでキャラクターを苦しめても良かったのではないかな。
攻める方向は面白かったけど、綺麗すぎる青春でちょっと消化不良感があるけど喉ごしスッキリ!そんな作品でした。
絵本先生のコミカライズ新作が決まってますが、やっぱりオリジナルが読みたいですよね。
以上となります。