オタしなみ

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【評価レビュー】恋風 作者:吉田基已

恋風 作者:吉田基已

イブニング:2001年9号〜2004年22号

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【評価 59点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評

兄と妹、成人とJK
二つの禁忌を同時に犯しつつも、特に真理の罰は受けなかった純愛漫画。

結末に賛否両論はありつつも、吉田先生という恋愛漫画家としての傾向を見るとそれも納得出来る禁断の愛系作品の中でも金字塔的作品。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【13点】 
兄と妹の関係性は抜群に良い。
急に再開した兄と妹の年の差も抜群だし、二人を取り巻く家庭環境も全然違和感がない。これがもし、片親が世界旅行に出ているみたいな設定ならリアリティが崩壊してしまっていたと思う。

三十路になる兄と高校生になった妹。
二人のキャラデザもバッチリだ。兄に関しては、情緒不安定過ぎてよく結婚相談所の職につけてるなと思ったりもする。妹に関してはメルヘンが過ぎている気もする。

ただ、そんな二人だからこそこの目の曇った恋愛ごっこを始めてしまっているのだからこれはこれで非常に素晴らしい設定だと思う。

 

・エンターテイメント(20点満点)
【12点】

七夏ちゃんの可愛さ100点
二人のHシーンなしマイナス90点
同僚の千鳥さんの素晴らしさプラス2点
=12点となっております。

七夏ちゃんはマジで可愛い。特に兄が家を出ていくまでは少女としての可愛さが完成し切っていてビビります。

ただ、だからこそその後成長した七夏ちゃんとヤった瞬間も描いてくれよ。。。。少女性の消失は非常に描くの大事でしょ!と強く思ってしまう。

この次作からは、容赦なくHシーン描くのになんで。。。なんで。。。。
そればかりが悲しいですね。

 

・ストーリー(20点満点)
【16点】

本作はストーリー構成としては非常に上手くまとまっていると思う。

3巻ですでに二人の想いは通じ合ってしまう。それから2巻は苦しみながら二人の愛の結論へと至っていく。

この中でも特に素晴らしいのは、吉田先生の描く恋愛漫画は外的要員によって物語が進まないことにあると思う。この手の禁断ストーリーであるあるのつまらないパターンとしては、近所のおばさんとかに二人が怪しいことがバレて親に密告されるパターンだ。

本作はそれが一切ない。というより吉田先生の恋愛漫画は総じて衝動的な二人の愛だけで物語が成り立っている。だからこそ、家族や友人は登場するものの決断も行動も二人が各々進めている恋愛という形式は本当に素晴らしいと思う。

だからこそ、この二人の愛だけの恋愛が冷める瞬間や他に移ろう瞬間が一番面白かったりするのだが、それはまた次作のお話ですね。

 

・面白さ(20点満点)
【8点】 

ストーリーで褒めた部分の裏返しになってしまうが、二人の愛だけで物語が進むので、そこまで予想外の展開はない。そのため、あまり面白い物語かというとそうではない。

 

・終わり方(20点満点)
【10点】 

そりゃみんながキレるのもわかります。
こんな可愛い高校生の妹の処女奪った三十路のおっさんが裁かれない?
WHY? 真理の扉先生は一体何してんのかな?

せめて、終わりが高校生の七夏ではなく大人になった七夏を描いてくれれば、納得できたのかなとも思う。二人の愛が永遠だったのか、それとも崩壊したのか。

ここで邪推をするが、描かないということはおそらく崩壊したのだと思う。桜は散ってしまうものであり、本作のタイトルは『恋風』つまりあくまで二人の関係は「恋」なのだ。

恋は冷めるものだし、桜は散るものだ。
この恋が愛に変わった瞬間を描くことがなかったのは、描いても哀しいだけだし漫画としても面白くないからだと個人的には思っている。
だからこそタイトル通り、「恋」を描き切った本作のエンディングはそこまで間違っているわけではないと思っています。

 

P.S.
先生、妄想オナニー裏山高単価先生野郎の連載が終わりましたら是非、千鳥と双葉ちゃんが主軸の外伝を描いてください。
その中で、美容学校のチャラ男と子供だけ作ってシングルマザーとなった七夏ちゃんと、絶望の反動でパチンカスまで堕ちることでニート兼自称パチプロになった耕四郎を描いてくれたら最高です。

 

以上となります。