【評価レビュー】水は海に向かって流れる 作者:田島列島
水は海に向かって流れる 作者:田島列島
別冊少年マガジン:2018年9月号~2020年8月号
【評価 74点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
おもしれーや。
好きなキャラをただただ淡々を描いたらこの漫画に仕上がってしまう田島列島先生の凄まじさを感じつつ、唯一無二のこの空気感を楽しませて頂きました。
ただの話が芸になる芸人さんと同じように、場面の切り取り方一つで演出に変えてしまう漫画家としてのセンスの高さにやっぱり脱帽してしまう。
田島列島先生の漫画って、漫画家を目指す人たちの心を最も折る作品の一つのように思う。
◆点数内訳
・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【14点】
キャラ作りが飛び抜けてすごいわけではないので、まぁまぁ落ち着いてください点数にしてます。
・エンターテイメント(20点満点)
【19点】
普遍的な日常をセリフ一つ、行動一つで極限まで面白くする。
その卓越した腕に感服でございます。
お母さんの娘のアメリカンドリームはマジで爆笑した。
大まかな展開の流れは考えていて、具体的にどうやってお母さんをあそこで助けるを必死に悩んだ結果あの展開を思いつくセンスは唯一無二、至高だと思う。
・ストーリー(20点満点)
【13点】
倫理的に二人の関係性がどうなのか。
単純に未成年との恋愛はアウトなので、そこが表現として難しかったと思う。
水は海に向かって流れたが、井の中の蛙は大海を知らない。
その大海で二人が溺れたのか、本当に最高の人生を送れたのか。
そこまで描くと物語として作られていないとは思うが、年の差という一面と成人と未成年という部分を無視して家庭環境というトラウマの解決だけで物語が終わってしまったことが少し気になってはしまう。
年齢?そんなのヤボでしょ。と思ったりもするが、田島列島先生の世界観では成人と未成年の恋愛が何一つ問題なく進むとは思えなかった。
・面白さ(20点満点)
【15点】
そりゃね。
キャラクターの小ネタと会話だけですんごく面白い。
・終わり方(20点満点)
【13点】
人って案外、もやもやしながら生きていくのよね。
過去に対する結末はそんなもんだった。
だが、それがこの作品らしさだったと思う。
要素の多い恋愛漫画ではあったが落とし所としては上手かったとも思う。
全てを描くことが是とも言わないけど、もう少し描ける要素はあった気もする。
以上となります。