オタしなみ

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【評価レビュー】ムシヌユン 作者:都留泰作

ムシヌユン 作者:都留泰作

ビッグコミックスペリオール:2014年第1号〜2018年第3号

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【評価 69点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評

どうしよう。この漫画めちゃくちゃ面白い。

読もうとする人は少ないだろうけど、読めば基本的にみんなこの漫画のことを面白い漫画だと認識すると思う。
圧倒的な設定量に、唯一無二のシーンの連続。

チンコが化物になった童貞性大魔神と化した主人公が、昆虫とSEXしながら戦い、抗った結果、愛した女性にいやいやフェラされた末に全人類を救う。

これを内包する設定を作りながら、読んで普通に納得できる漫画になっているという本作。

文化人類学者という異例の経歴を持つ都留先生、センスだけの意味ではなく本物の天才が描いた漫画。

成人した全人類の何%がこの漫画を楽しめるのか、すごく気になる。下手したら人気ジャンプ漫画よりも楽しめる人、多い気がする。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【17点】

みんな結構いいキャラだったよね。

主人公については、最終巻で結構好きになっちゃいました。
ヒロインたちについては、都留先生特有の謎の色気たっぷりで最高でしたね。

世界観と設定は言わずもがな完璧でした。
正直に言うと何も文句言えませんよ。だって学者先生が本気で考えた設定に穴なんて基本ないのだから……。

 

・エンターテイメント(20点満点)
【13点】

どうなの?
主人公と虫が交尾してるシーンってエンタメ? 流石に違うよね。うん、違うハズ。

だとしたらやっぱりこの点数くらいなんですかね。この作品、終盤に掛けてちゃんと序盤から読者に期待させていた展開は回収している辺りがホントすごい。

虫との戦闘方法が確立してガッツリ最終決戦している辺りは本当に爆笑した。
特に最終巻の「まるで新撰組 斬」は腹引きちぎれるくらい笑いました。

笑い・恋愛・バトルと基本的な要素は全て抑えているのが本当にすごい。ただ、これを素直にエンターテイメントだ!と受け入れて読むことが出来るほど人類はまだ進化出来てないと思ったので少し低めにしております。

 

・ストーリー(20点満点)
【13点】

この漫画、信じられないことに最初から最後までしっかり考えた上で描かれてるんですよね。
いや、最後まで読めばこの漫画がどれだけ考えて描かれているかは一目瞭然なんですけど、特に一巻の最初の見開きにヒロイン全員描かれている辺りとかホントすごい。

構想ノートとかあるなら是非、拝見したいです。

 ただ、本作は一つだけ弱点が存在しています。
それは登場人物たちの現実を受け入れる許容量のブッ壊れ具合。

あのですね、流石にみんなありのままを受け入れ過ぎでは?
巨大化した昆虫たちが日常化するまでの速度が尋常じゃない。あと主人公が自分のチンコがスペースチンコになってから受け入れる速度がとんでもないし、主人公のスペースチンコに対してみんな優しすぎる。

著者のあまりの感性が原因なのか、ストーリーとしては破綻してないのですが登場人物たちのメンタルが常人と掛け離れ過ぎているせいでストーリーとして無理を感じる箇所はあったと思います。

逆にあの宇宙人から魚を貰う辺りとかは爆笑しましたけどね。

 

・面白さ(20点満点)
【11点】 
そりゃね、チンコがスペースチンコになった化物が美しい女性たちを襲うストーリー展開は面白いですよ。誰もが目を離せませんよ。

その後の巨大化した昆虫たちが島の人々を襲い始める展開も面白いし、最終的に主人公が虫と交尾して中出しして昆虫を殺す展開なんて面白が崩壊してます。

こういった展開は基本的に面白いのですが、本作は設定が本格的過ぎる。
簡単に言うと、映画の『シン・ゴジラ』と本作は似ている。
「宇宙人が侵略してきた」これを全世界規模でしっかり考えて描かれているのだ。そのためあらゆる戦争背景や経済背景、その上でとんでもない科学的設定が登場する。

これらを楽しめる読者も居るが、全読者が楽しめるかと言うと微妙な気もする。

あと元も子もないこと言うと、女性でこの漫画楽しめる人いる?

 

・終わり方(20点満点)
【15点】
ホントすごい。
だってめっちゃ完璧に終わってるんだから。

この後の展開は、人類と共に地球にどうやって戻るのか。それは最後のページで示されている。本作は、上原くんのスペースチンコの物語だったのだからムシヌユンとしては完結で全く問題ない。

さらに凄いのが、上原くんちゃんとヒロインと結ばれてるのがヤバイし、生き残ってる登場人物たちなぜか軒並みハッピーエンドというのが凄い。

あんなことあって何でハッピーなん?という登場人物たちへの精神疾患を疑いたくもなりますが、作中あそこまでメンタルの強いみんなの姿を見せて頂いたのでそこには目を瞑ろうと思います。

 

結果として、本作は間違いなく名作と呼べる作品だったと思う。
鬼滅の刃しか読んだことない人とかに読ませたい。ホント読ませたい。 

 

以上となります。