【評価レビュー】約束のネバーランド 原作:白井カイウ 作画:出水ぽすか
週刊少年ジャンプ:2016年35号~2020年28号
【評価 64点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
今までのジャンプからはある意味切り離されつつも、明らかにジャンプ漫画であり続けた現代的、新時代ジャンプ漫画だった。
邪道と言ってしまえば簡単だけど、自身の正義と、誰も見捨てることのない強い心を持った主人公を描き続けた本作は、バトルや能力がなかったとしても、王道ジャンプ漫画であったと思う。
内容について簡単に言うと、面白かったです。
謎の世界で真実を暴きながら、仲間と共に生きていく姿は心掴まれますね。絶対に勝てない鬼と相対するゾクゾク感は何物にも勝る面白さだった。
ただ、設定が少しおざなりだった感はどうしてもありますね。。。
本作は脱獄編までを大まかにノート2冊分のネームを白井先生が持ち込んだところがスタートとのことでしたが、その後当然、ストーリーを詰めたりはしたと思うのですがこの物語の後半までは詰めて連載開始出来てなかったのが悔やまれる。
本作とは関係ないが、個人的にほぼ同じストーリーラインを持っている進撃の巨人がどんな結末を辿るのかが本当に楽しみになっています。
◆点数内訳
・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【15点】
キャラ、世界観は最高過ぎる。
エマという主人公も良いし、サブキャラも良ければ、敵のレウウィスも最高だった。
世界観もこの人間と鬼を隔絶させた世界という構造はめちゃ面白い。
食料になった子供達の脱走劇というプロットを実現するためにはもっとも正しい世界観だったと心から思う。
設定については、かなりキツかった。そもそも世界を隔てたあの方の存在設定を解決させるのが難しかったですね。。。ただ、この設定についてはもっと時間をかけてゆっくり考えれば絶対に何とかなったと思う。
鋼の錬金術師の真理の扉や進撃の巨人の悪魔、これらの漫画の核となる超常現象設定は上手く掌握できていた。だからこそ、本作も絶対にやり様はあったと感じました。
・エンターテイメント(20点満点)
【14点】
これも後半入るまでは100点。
脱獄編は改めて読んだらまー面白かった。特に脱獄の後半。何年も暖められてきたからこその重厚さがあったと思う。
そして、脱獄後の冒険からGPまでも最高だった。
GPのバトルはこの鬼との戦いという絶対に勝てるハズのない強敵との戦闘としては屈指の出来だったと思う。
そして、後半についてはもう時間をかけてゆっくり進めるのではなく、物語が蛇足になる前にたたみかける選択肢をとったからこその弊害がありましたね。
物語が進んでいく爽快感はあっても読んでいる楽しさが薄かった。
しかし、前半が最高だったのは紛れもない事実です。
・ストーリー(20点満点)
【13点】
ストーリーラインは上手いと思う。
ラストに向けた伏線の散らばり方は流石だったと思う。特にフィルやムジカなどの回収は素晴らしいと思ったし、常に示されるミネルヴァという道標があるからこその安心感のあるストーリーだったと思う。
鬼の政治を含めた内情に関しても、悪くはなかった。人肉というものがあるからこその階級社会が存在するのも良かった。
しかし、世界の渡り方がおざなりだったことが如何せん本作を絶賛することを許さないですね。一番大事な部分だったと思う。世界を行き来する部分を上手くストーリーに落とし込められれば、、、、。
・面白さ(20点満点)
【13点】
いやもう、そりゃ面白いよ。
物語の後半までは最高。ただ、後半からはどうしてもただストーリーを進めるだけで精一杯だった。
ただ、これが絶対的に悪いとは言わないんですよ。
理由としては、本作の設定をめっちゃ練って世界の秘密ももっと面白くして、現代との行き来の設定をすごく考えたとしたら、、、、、!
話がめっちゃ長くなるんですよね。そうなると、そのストーリーをどんな”面白い”展開を起こして読者に読ませ続けるのか?
異能のバトルが出来ない本作は、長期連載をし続ける体力が設定上、どうしてもなかった。それが難しいポイントだったと思います。
・終わり方(20点満点)
【9点】
うーん。
ここが低いのは散々前述した通りなのですが、物語をたたむしかなかったのがね。
別にエマの記憶がどうこうはないですよ。あのペンダントを持っていたことから、いつか過去の記憶を追体験してエマは元どおりになったという答えも明記されたエマに関しては素晴らしい結末だったと思う。
ただ、「鬼たちの暮らす異世界が存在してたけど、その扉を鬼たちの神と約束して閉じました!これで平和!」と言われも。。。。感が強いですね。
これ以上、続けることが出来なかったとはいえどうしてもスッキリいかなかったですね。
以上となります。