オタしなみ

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【評価レビュー】サムライ8 八丸伝 原作:岸本斉史 作画:大久保彰

サムライ8 八丸伝 原作:岸本斉史 作画:大久保彰

週刊少年ジャンプ:2019年24号〜2020年17号

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【評価 30点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評

NARUTOを描いた岸本斉史先生、待望の新作!

その正体は!!!

めちゃめちゃ面白いけど、めちゃめちゃ下手な漫画でした。
ものすごく良い風に例えると「ジャンプ系FSS」

 

基本的に本作は、批判されているところしか見ないのですが、岸本先生は確実に『NARUTO』を超える漫画として描いていたし実際にやろうとしていた内容は『NARUTO』より面白いと断言出来る。

ただ、結果としては5巻で打ち切られてしまいました。

何故?
理由は色々あると思いますが、個人的に一番感じたのは、漫画としては読みづら過ぎる。
岸本先生は超大傑作を思いついたのだが、キャラも読者も無視してただただ中身を投げつけてくるばかりで、結果その中身をわざわざ拾って食べる人は全然いなかった。

こんな感じな気がします。

 

ここまで色々言ってますが、個人的には本当に面白かった!!!!!!
何がどう面白かったのは、これから色々と書こうと思う。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【10点】

キャラの魅力以外は、抜群に練られていたとおもう。
本作は、確実に最初からほとんどの構想が完成している所謂『進撃の巨人』のような伏線と世界の謎をしっかり持った次世代漫画としての面白さが内包されている。
さらに本作のすごいところは、王道ジャンプ漫画として努力・友情・勝利の全ても詰まっているところだ。

まずは、本項目では設定等の話。
本作の最初の目標は、「パンドラの箱」という世界を救う何かを開ける「鍵」となる7人の侍を見つけることである。最初に、師匠は主人公である八丸を「鍵」として見つけその後八丸も師匠と共に「鍵」となる強力な侍の仲間探しの冒険へと旅立つ。

あるあるだけど、熱い展開だ。

ただ、実際には違っていて八丸は「鍵」ではなく「パンドラの箱」だったのだ。
この漫画のめちゃくちゃ面白ところは、7人の強力な侍の仲間を探して行ったら結果、8人になってしまうという展開が待っていたことだ。

しかも「パンドラの箱」になるには、確実な死を迎えなければならない。

本作は打ち切りエンドのため、一気に八丸が「パンドラの箱」になったが、絶対にこれがゆっくりと明かされたらめちゃ興奮したし面白かったと思う。

 

こんな展開が目白押しなんです。
ただ、パンドラの箱!と言われても正直そんな気にならないし、八丸のことみんな多分好きじゃないので、彼の行く末なんてどーでも良いという悲しいことに……。

 

・エンターテイメント(20点満点)
【5点】

バトルは素直にめちゃつまらなかったね。
絵はめっちゃカッコいいところもいっぱいありましたが……!

ただ、このバトル展開もちゃんと岸本先生は『NARUTO』を超えるために、超えられるように描いていると思う。

NARUTO』の忍術は印を覚えてチャクラを練れば発動します!多分!
みたいなものすごくあやふやで適当な設定で戦っており、よくよく見るとめちゃくちゃです。
そんな反省点から、サムライ8のバトルは面白く納得できるように描こうとしている。

ゲームという視点からバトルが描かれることが多いのだが、それが最も面白いのは、本作の終盤に出てくる八丸が技をダウンロードして「伝授」されたシーンだ。
これはつまり、NARUTOでいうところの印を覚えたのと同じ状況だ。そして本作はさらに踏み込んで、「会得」するには「ステータス」をあげることで初めて会得できるようになる。

NARUTOとは違い、チャクラで頑張る!みたいな曖昧さを無くしさらに面白く描けるようにしていると思う。※「伝授」⇨「会得」の流れはいいけどステータスはダサいなとは思うが。

 

恋愛面については、ひど過ぎる。ここはフォロー出来ませぬ。

やりたいことはFSSのファティマ感は伝わる!でもあんな関係性を描くのはムズイよね。 

 

・ストーリー(20点満点)
【5点】

打ち切りだしそりゃこの点数にはなるものの、絶対にゆっくりやってれば最高の展開が待ってたよね。。。。

特に読みたかったのが、本作で言うところの最終回の先の展開。
八丸は情報統合思念体的なものになってしまいそんな中、姫がその意思継ぐ。

つまり、本作は途中主人公が退場し、ヒロインが主人公になる展開があったと言うこと!これめっちゃ面白いでしょ……!

物語中盤で一気に強さを極めてしまった主人公が中ボスを倒して主人公退場。ヒロインがラスボスを倒すためにも仲間と共に一から強さを磨いてラスボス戦へ向かう展開!!!!
想像するだけでよだれが出る面白展開なんだよなぁ。

ただ、現実はこうはならなかった。。。。

 

・面白さ(20点満点)
【10点】 

個人的な話をすると、上記の展開とかを想像しながら読んでるからスゲー面白かったんだよね。最終回を迎えたから言えることだけど、全ての展開や意味なさそうな描写にも意味はあった。

この漫画は絶対に面白い漫画だ!と決めつけて読んでた人は絶対に面白く読めたと思う。
ただ、大半の人はこの漫画は面白くない!と言う前提で読んでるしそう読むのも重々わかる。。。

結果的には絶望が待っておりましたが!

 

・終わり方(20点満点)
【0点】

すんごいフォローする内容を書いておりましたが、結果的に言うと
「もっと練って噛み砕いてから連載始めろ!!!!!!!!!」

これに尽きます。
見切り発車した結果、こんな無残な打ち切りエンドに辿り着いてしまった。

主人公をもっと練り上げて、最初は「姫を見つける!」みたいな恋愛展開メインでスタートして、ややこしい設定を完全に無視してればもっと違ったのかなと思ってしまう。

サムライ8って例えると、1話の時点でワンピースでいうところの
「ワンピース見つけるために、ラフテルに行きます。ただラフテルに行くためにはポーネグリフの中でも道が記されたロードポーネグリフを4つ見つけます。その4つのロードポーネグリフが指し示す場所にラフテルがあってさらにそこから何かするとワンピースが見つかります」

これを1話からいきなり言われてるようなもんなんだよね。そりゃ置いてきぼりですよ。さらにこんなのを週刊連載でやってたら本気で着いていけない。個人的にも週刊連載は完全無視で単行本を読んでようやく面白いことをしようとしてる!ってことに気づけたくらいだった。

 

最後になりますが、『NARUTO』というこの世でも最高に人気な漫画を描いた後、その作品を超えるような作品に挑戦した岸本先生は本当に凄いと思うし、最高の漫画家だと思う。

FSS的に、また全部設定変えて1からまた初めても良いんじゃないかなって思う。それくらい、『サムライ8 八丸伝』は面白い漫画だったと思う。

 

以上となります。