オタしなみ

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【評価レビュー】清々と 作者:谷川史子

清々と 作者:谷川史子

ヤングキングアワーズ:2008年11月号〜2015年3月号

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【評価 62点】※採点基準についてはコチラ

 

◆総評

女学院ものを谷川史子先生がヤングキングアワーズで連載していた。

この事実だけで心揺さぶられますね。少女漫画でも大人の女性に向けた恋愛漫画を描くことが主戦場であり、一際強い人気と実力のある谷川先生。そんな谷川先生が漫画界のギャングことヒラコーと同じ雑誌で連載していた事実に震えます。

しかも、男性向けではない設定の漫画をヤングキングアワーズで間違いなく男性でも楽しめる作品に仕上げているのが凄まじ過ぎます。

女学院ものとしても、生徒の先生への恋物語としても満足な一作。

 

◆点数内訳

・キャラ、世界観、設定(20点満点)
【11点】

 

女学院ものっていいよね。

ただ、本作はそこまでそのお嬢様という設定を前面に押し出している訳ではない。
そこで過ごす清ちゃんを中心に物語を描いている。

キャラクター達は大体鉄板な感じで素晴らしい。

姉をお姉ちゃんと呼ばずにキヨって呼ぶ弟とか素晴らし過ぎない?こういう人間らしさが前面に出てるのがホント良いです。

 

・エンターテイメント(20点満点)
【13点】

キャッキャうふふな女学院の日常、最高ですな。

そして、本作の凄いところはそれだけではなく各キャラクターを掘り下げることで、普通の恋愛もしっかり描けている部分だと思う。

そうなんですよね。天然な女学院に憧れを持つおさげの女の子が恋愛成分まで全部カバーする必要ないんですよ。なぜなら、少女漫画雑誌ではないから。

少女漫画雑誌であれば、当然主人公の女の子が活躍しないと読者である女の子達は感情移入が難しい。ただ、ここはドリフターズアルペジオが連載しているヤングキングアワーズなのです。読者は皆、女の子に感情移入する方法を持ち合わせていないからこそ漫画としての盛り上がる恋愛要素全てを主人公だけで描く必要がなかったのが本作の非常に良い部分でもあると思います。

 

・ストーリー(20点満点)
【16点】

もうね、1話1話の完成度が高過ぎる。
多忙な谷川先生とは言え、年間平均2話くらいで進行して約7年間ほど連載していたということを鑑みても完成度が途轍もない。

もともと短編が非常に人気な谷川先生ということもあり、各話の起承転結具合がとんでもなさ過ぎます。全体を通して読んでも、最初は清ちゃんの入学時の物語から始まりその後は各キャラクターを描き清ちゃんに物語が戻ってくる。

よくある形ではありますが、各話が独立して面白過ぎです。
いやぁ、谷川先生凄まじ過ぎる。

 

・面白さ(20点満点)
【10点】 

心もどんどん変わっていく、高校生という立場を描いているからこそ仕方ないとは思うのですが、思わせぶりなちょっと重い展開を匂わせつつ結果、「私たちはそうやって成長していくのです」的な回収が多いかなとは思いました。

ただ、各エピソードがん?て終わってもすぐに新たな面白いエピソードが始まるのでそんなに気にはならないというすごさ。

物語として疲れたおじさま達を癒すための優しいミルク多めの作品に仕立てられてるので、刺激が直接面白さに変わることが多いこの項目はちょっと不利な部分もあるかと思います。

 

・終わり方(20点満点)
【12点】 

気になるよーみんなのその後が気になるよー
先生お願いだから後16ページくらい描いてよ!お願い!お願い!と駄々をこねたくなっちゃいました。

みやびちゃんが大好きだったので、やっぱり彼女の物語というか進んだ道はどうしても気になっちゃいますよね。

先生が全然描いてくれないので、個人的にみやびちゃんは雅ちゃんと名を変え、ある島の吸血鬼の長として丸太を持った生物と激しい戦いを繰り広げるストーリーを妄想し始めそうです。

清ちゃんと先生の物語。
生徒と先生の恋愛という悲恋的なストーリーが多いこの形において、本作はハッピーエンドを示したと思う。
これはストーリー加点項目ですが、告白が卒業寸前あたりだったのが本当に良かった。そうなんですよね。普通卒業前に告白ですよね。出会って憧れの先生に告白なんておかしい。清ちゃんのこらえきれなくなった末の告白最高でした。

 

以上となります。