【評価レビュー】羊のうた 作者:冬目景
コミックバーガー1996年1月号~コミックバーズ2002年11月号
【評価 78点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
冬目景先生の描いた、和の吸血鬼もの。
本作の素晴らしいところは、吸血鬼ものを完全に男性向け作品として昇華させているところだと思う。
この設定をここまで男性向けに描けるのは、冬目景先生だけが持つ独特の作家性のおかげだと思っている。
「童貞サブカル漫画好きが好きな漫画家ランキングNo.1」
この永遠の称号を与えたくなるほど、本当に童貞にとって心地よい作品にいうも冬目景先生は仕上げて下さる。「なんで童貞限定なの?」と聞かれると何故かはよくわかんないけど何かしっくりくるからです。
『イエスタデイをうたって』を引き合いに出してしまいますが、冬目景先生の作品の中で、最も切れ味があり、人に最も薦めたくなる作品は本作だと思う。
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【評価レビュー】最終兵器彼女 作者:高橋しん
ビッグコミックスピリッツ:2000年4・5合併号〜2001年48号
【評価 90点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
才気ある作家が、最高のアイデアを得た。
そしてそのアイデアを実現させることに一切の妥協を許さず、苦しみぬきながらもクオリティを落とすことなくそのまま最高の作品を作り上げた。
まさに作家として理想のような作品、それが『最終兵器彼女』だと思う。
この記事の画像も普段は好きな一冊に絞るのですが、本作に関しては不可能だった。
各単行本の収録話数、目次、スタッフ一覧、あとがき。
妥協の跡は一切ない。著者自身がこの作品の尊さを感じ取り創り上げたのだと思う。
セカイ系というジャンルを語るに於いて、本作たちがそのジャンルを完成させたと言っても過言ではない。
本作完結と同時期に同様のセカイ系作品たちも完結し、それ以降このジャンルを見ることは少なくなっていった。
ジャンルにピリオドを打った稀有な作品の一つだと思う。
本作と本作を描いていたときの「高橋しん」先生が大好きです。
本作の巻末には先生がこの作品を描くうえで助けられた作品たち、普通の漫画やアニメも含めてタイトルが羅列されている。
ただ、そこには
『新世紀エヴァンゲリオン』『デビルマン』『愛人 AI-REN』『ブギーポップ』『イリヤの空、UHOの夏』
これらのどれもが挙がっていない。
それが最高なんです。そこに先生のプライドと本作にかけた思いを感じずにはいられない。同様のセカイ系作品を挙げれば本作にこのどれが影響を与えたのかを考えさせてしまう。
そんな著者の細部への配慮とプライドを勝手に感じさせられた。それがクリエイターとして最高にカッコいいと勝手に思っている。
この最高のアイデアが、高橋しん先生に降ってきたことに感謝を。
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レビュー点数一覧
レビュー点数評価した作品一覧になります。
「漫画の評価基準」記事
・これは実験的に出来るだけ客観的に点数付けしたものです。
個人的に好きな作品順位ではないです。
▲=○○点以上の意
▼=○○点以下の意
◆100点 〈完全無欠 ~存在しない~〉
▲95点 〈伝説級〉
▲90点 〈最高の漫画〉
・87点:『GUNSLINGER GIRL』
▲85点 〈面白さを超えた素晴らしさ〉
・83点:『NARUTO』
・82点:『金色のガッシュ!!』
・81点:『鬼滅の刃』
・80点:『おやすみプンプン』
▲80点 〈名作〉
・79点:『惑星のさみだれ』
・78点:『羊のうた』
・77点:『友達100人できるかな』
・74点:『青のフラッグ』/『逃げるは恥だが役に立つ』/『水は海に向かって流れる』/『亜人』
・73点:『シュトヘル』/『ラストゲーム』/『ぼくらのへんたい』
・72店:『アスペル・カノジョ』
・71点:『バジーノイズ』/『Jの総て』
▲70点 〈面白い漫画〉
・69点:『ムシヌユン』
・67点:『恋愛ディストーション』
・66点:『PSYREN -サイレン-』
・65点:『Stand Up!』
・64点:『約束のネバーランド』
・63点:『砲神エグザクソン』
・62点:『清々と』/『シャーマンキング』
・60点:『響 ~小説家になる方法~』
▲60点 〈漫画好きなら楽しめる〉
・59点:『リボーンの棋士』/『恋風』/『荒ぶる季節の乙女どもよ。』
・57点:『ファムファタル 運命の女』
・56点:『賢者の学び舎』
・54点:『欅姉妹の四季』
・53点:『恋は光』
・50点:『ストラヴァガンツァ ~異彩の姫~』
▲50点 〈好きなジャンルなら読んでも〉
▼49点 〈んー〉
・48点:『マオの寄宿學校』
▼30点 〈なんも言えねぇ〉
・30点:『サムライ8 八丸伝』
【評価レビュー】リボーンの棋士 作者:鍋倉夫
リボーンの棋士 作者:鍋倉夫
週刊ビッグコミックスピリッツ:2018年25号〜2020年38号
【評価 59点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
また大好きだった漫画が打ち切られ、大好きな漫画では無くなってしまった。
しかし本作は不思議な魅力があり、多くの読者から愛される漫画だったと思う。
まずはこの凄まじく魅力のない1巻の表紙を見て欲しい。遠近感が狂って右手がパラサイトに寄生されたミギーでも描いているのか?と思わせてくれるこの表紙、大好きです。
2巻の表紙なんて、確実に「※パッケージはイメージです」と注意書きがないと詐欺になる。ただただフリーターの主人公が勝手に着替えてプロ棋士のコスプレをしているだけなんだもん。そんな表紙も大好きです。
本番の対局の背景は真っ白なテケトーなものばかりなのに、4巻の第33回を見て欲しい。対戦相手のお父さんのモノローグの自動車工場の背景がこの漫画で最も気合の入っている。そんな意味不明なところも大好きです。
そう、この漫画のことが大好きでした!
という叫びはさておき、本作は数ある将棋漫画でも最も挑戦的な作品だったと思っている。
現代に限りなくフォーカスしていく形式は非常に挑戦的で読んでいてワクワクさせられた。そして何より本作は、過去の将棋漫画と一線を画した「メンタル」という部分に最も力を入れようとした作品だと思っている。
「棋力」ではなく「メンタル」
他の盤上の競技漫画でもよく見る展開ではあるが、本作は明らかにメンタルに特化して描く設定になっている。
なぜ、実力も才気もある主人公がプロになれなかったのか。
なぜ、プロになれなかった彼らがここまで強いのか。
なぜ、プロはここまで強いのか。
当然才能の世界ではある。しかし、試合で実力を発揮することも普段の練習での向き合い方も「メンタル」によってその人の棋力は大きく変わっていく。
プロ、アマを描ける本作だからこそ、それぞれの登場人物たちの将棋との千差万別の向き合い方は本当に面白かったです。
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【評価レビュー】GUNSLINGER GIRL 作者:相田裕
月刊コミック電撃大王:2002年7号月〜2012年11月号
【評価 87点】※採点基準についてはコチラ
◆総評
「面白い、すごい」そんな評価軸からは外れ、
「この作品を通して見る世界の在り方」について考えさせられてしまう。
面白いというのは当然で、この漫画から多くの人が世界について考えさせれたと思う。
個人的には本作を「愛と希望」の物語だと思っている。
対象的なのがジョゼとジャンの兄弟だ。真に愛する者を持つジャンは死線を乗り越え生き延びた。しかし愛する者を結果的に見出せなかったジョゼは死へ向かってしまった。
本作には、社会福祉公社側・五共和国派どちらにも愛する者を持つ人や失った人たちが愛を守るため、復讐のために戦っている。だが、果たしてその愛だけで人が生きていけるのかと言うとそうではない。愛を持ち、愛を失った末に復讐に走り、その復讐を終えたときその人は死んでしまうのか。そうではない。愛を尊び、生きていればまた新たな愛に出会えるのだ。
それをこの世界では「希望」と呼んでいる。
こんなメッセージを本作から私は受け取りました。
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